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糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症(以下、網膜症)は、働く世代における最も多い失明原因となっています。
糖尿病黄斑浮腫は、網膜症を基礎疾患として、血液成分(たんぱくや脂肪など)が漏れ出たり、
網膜の黄斑付近の細い血管にコブが多発するなどで、黄斑にむくみ(浮腫)が生じた状態をい
います。


糖尿病網膜症 -糖尿病の三大合併症-

糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の合併症として黄斑が異常をきたす(むくむ)病気です。
糖尿病網膜症は、糖尿病において血糖値が高い状態が続くことによって起こる合併症で、三大合併症と呼ばれる代表的な合併症(網膜症、腎症、神経障害)の一つです。
糖尿病合併症の根本的な原因は、血液中で増えすぎた糖が血管や神経を障害することです。そのため、全身のいろいろな場所で合併症が起きるのです。

糖尿病網膜症 -糖尿病の三大合併症-


糖尿病網膜症の有病率

日本における糖尿病網膜症の有病率は、糖尿病患者さんの約15~40%とされ、約300万人が糖尿病網膜症にかかっていると推定されています。
糖尿病網膜症は、年間約3,000人の失明を引き起こし、成人の失明原因の第2位、60~74歳では第1位となっています。

●日本の成人における年齢別失明原因

原因疾患 全体 18~59歳 60~74歳 75歳以上
緑内障(%) 20.7(1位) 8.4(3位) 12.1(2位) 49.9(1位)
糖尿病網膜症(%) 19.0(2位) 22.9(2位) 19.2(1位) 13.7(3位)
網膜色素変性(%) 13.7(3位) 24.9(1位) 9.8(3位) 8.5(5位)
黄斑変性(%) 9.1(4位) 2.6(5位) 4.8(5位) 24.2(2位)
高度近視(%) 7.8(5位) 5.4(4位) 6.5(4位) 12.8(4位)

厚生労働省 難治性疾患克服研究事業 網膜脈絡膜・視神経委縮症の関する研究班 研究報告書 2006


糖尿病網膜症はどのように進行するの?

糖尿病網膜症(以下、網膜症)は、糖尿病による血糖の高い状態が持続する結果、網膜にはりめぐらされている細かい血管(毛細血管)が壊れることで起きる病気です。網膜症は血管が壊れていくことで進行し、初期には見え方に異常はありませんか、放っておくと、最悪の場合は失明に至ります。ここでは網膜症の進み方について見てみましょう。

  • 単純網膜症
    長い間、濃度の高い糖にさらされることで毛細血管が壊れ始め、コブができたり(毛細血管瘤)、出血したりします(点状出血)。また、壊れた血管から血液や血液の成分(たんぱくや脂肪など)が漏れ出します。
  • 増殖前網膜症
    血管の障害が繰り返されることで血管壁が厚くなって、血管が狭くなったり、詰まったりして(血管閉塞)、血液が網膜に流れなくなります(虚血)。
  • 増殖網膜症
    虚血になると、網膜では新しい血管が作られ(新生血管)、硝子体まで伸びて、血液や酸素を取り込もうとします。新生血管はもろく、壊れやすいので、硝子体で出血を起こすこともあります。また、硝子体内にできた増殖膜が収縮して硝子体と網膜を癒着させ、網膜を引っ張り網膜剥離を引き起こすこともあります(牽引性網膜剥離)。

糖尿病網膜症の治療

糖尿病網膜症(以下、網膜症)の治療法には、薬物による治療法と外科的な治療法(レーザー治療や硝子体手術)があります。病気の進行によって治療法は異なり、早期に治療を始めるほど負担の小さな方法で視力障害や失明を防ぐことができます。

  • 正常~単純網膜症(早期の網膜症)
    血糖コントロールや、高血圧の治療など内科的治療を行い、状態によってはレーザー光凝固療法を行います。それによって、病気の進行を阻止したり遅らせたりすることができます。
  • 増殖前網膜症~増殖網膜症(進行した網膜症)
    増殖前網膜症と早期の増殖網膜症の時点で、失明予防の目的でレーザー光凝固療法を行うことによって、病気の進行を阻止したり、遅らせます。さらに病気が進行して、網膜剥離や硝子体出血が起きた場合は、硝子体手術が行われます。

正常~単純網膜症(早期の網膜症)・増殖前網膜症~増殖網膜症(進行した網膜症)


糖尿病黄斑浮腫とは?

糖尿病黄斑浮腫(以下、黄斑浮腫)は、糖尿病網膜症の合併症として黄斑部がむくむ(浮腫)病気です。網膜症の病期に関係なく発症し、その進展に伴って発症の危険性も高まります。黄斑浮腫は最初は小さなものですが、やがて黄斑の中心部にまで浮腫が及ぶと、著しい視力障害が生じます。

糖尿病黄班浮腫とは?

黄斑浮腫は、黄斑部に血液成分が漏れ出すことによって起きます。漏れ方(病態)には大きく3つあり、それによって治療法も少しずつ変わってきます。

黄班への血液成分の漏れ方を風呂釜に例えると


糖尿病黄斑浮腫の自覚症状

黄斑浮腫では、視野の真ん中が影響を受けます。進行に伴ってさまざまな症状があらわれますがいちばん多くみられるのが、かすみ眼です。そのほか、視力の低下、変視症、コントラスト感度低下等があります。

かすみ眼(見たい部分がかすんで見える)
変視症(見たい部分がゆがんで見える)
コントラスト感度低下(見たい部分が不鮮明に見える)


糖尿病黄斑浮腫の治療

黄斑浮腫を改善することで、視力回復を目指すことができます。治療法には薬物による治療法と外科的な治療法があります。
薬物による治療法は、網膜や黄斑を傷つけることなく、浮腫を抑えます。外科的な治療法には、レーザー光凝固と硝子体手術があります。
治療法は、血液成分の漏れ方(病態)によって、選択され、場合によっては複数の方法を組み合わせて行います。

薬物による治療法

  • VEGF阻害薬:血管からの血液や血液成分の漏れを抑制する薬を眼内に注射します。
  • ステロイド薬:炎症を抑え、水分の漏れを抑制する薬を眼内に注射します。

外科的な治療法

  • レーザー光凝固術:網膜を焼き固めて水分をためないようにします。
  • 硝子体手術:硝子体を切除することにより、網膜への牽引を除去したり、酸素の供給を高めます。

糖尿病黄斑浮腫の薬物療法

VEGF阻害薬(眼内への注射)

糖尿病黄斑浮腫は、網膜内の毛細血管から血液成分が漏れ出すのを促すVEGF(血管内皮増殖因子)という物質によって引き起こされます。
VEGF阻害薬療法は、このVEGFの働きを抑える薬剤を眼内に注射することで血液成分の漏れを抑制する治療法です。
ルセンティスによる治療は、この治療法にあたります。

width = 600px height = 402pxVEGF阻害薬(眼内への注射)


糖尿病黄斑浮腫の外科的治療法

レーザー光凝固術

黄斑浮腫に対する網膜光凝固は、細小血管や毛細血管瘤から血液成分(水分やたんぱく、脂肪など)が漏れ出るのを防ぐ直接光凝固と格子状光凝固があり、単独または併用で行われます。

直接光凝固

①直接光凝固
網膜毛細血管にできたコブ(毛細血管瘤)や血液成分が漏れ出ている部位にレーザー光を当てて、焼き固めることで、出血や血液成分の漏出を防ぎ、黄斑浮腫を改善させます。

格子状光凝固

②格子状光凝固
網膜の浮腫(むくみ)を生じている部分にレーザー光を当てる治療です。

レーザー光凝固術


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